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ネパール医療スタディツアー報告
2009年9月出発


 2009年9月参加者 K.K.さん

 今回でネパールは三回目でした。ただ、今までのネパールに行くときよりも、どんな外国に行くときよりも、今回ネパールに行くことに私はとても興奮していました。なぜなら、医師になりたいと思うようになったきっかけを与えてくれた国に医療を勉強するために戻って来られたからです。初めてこの国に来たとき高一だった私は発展途上国の現状を目の当たりにして、生きることの厳しさ、自分は何もできない無力な人間であることを思い知らされました。帰国後、何かできる人間、医師になってネパールのような発展途上国にいろいろ教わったお返しができたらと思うようになりました。
 ただ、医学部に入学して勉強をしているうちに私は日本だけで医学の勉強をしていたら、疾患も医療器具もちがう発展途上国では、必要のない医師になってしまうのではないかという不安が頭の中をよぎるようになりました。やっぱり英語は自分でもっと勉強しといたほうがいいのだろうか、どの科が一番必要とされているのだろうか・・・。発展途上国で医療を行うことで現地の人が平和に過ごせる世界を実現させたいという目標はあるものの、その目標にどう向かっていったらいいのか分からず、一度発展途上国の医療を見てみたいなと思っているときに偶然このツアーを見つけ参加することにしました。

 今回でネパールは三回目とはいえ、新たな発見がたくさんありました。




 私は過去二度来たことがあるので並大抵のことには驚きませんでしたが、それでも信じられないこともたくさんありました。
たとえば、お見舞いに来る人の数が日本に比べて圧倒的に多い。清潔さが要求される病院であっても、自分が掃除をするカーストではないからゴミをそのままにしている。整理しておく習慣がないために道具が散乱していて、必要になってはじめて物を探し始める。現地の方と一緒に働いている日本の方のお話を直接聞かせていただいたこともあり、外国人が他国の文化の違いを受け入れつつも自分が正しいと思うことを実行するということの難しさを容易に想像することができました。
 今回、一番印象的だった話は灘さんと北嶋さんの話でした。その話とは、あるネパール人女性がなんらかの理由で足を切断しないと、あと数週間の命というのにも関わらずその女性は足を切断するのを拒否したというものです。そのわけは、足を切断して家での仕事もほとんど出来ず、家族に一生負担をかけてしまうなら数週間で死んだほうがましだと彼女は言ったそうです。それに対して北嶋さんの意見は、義足をつけられて元通りの生活を過ごせる可能性があるから無理やりでも切断したほうがいいかもしれないと仰いました。
以上のような話を聞かせていただいたり、協力隊、現地の方などの働いておられる姿を見させていただいたりしていると立場や各々によって意見が異なるときに、一つの結論を出さなければならないことの困難さが組織にとって、とても骨の折れることだと分かりました。



 私は日本の義務教育で習ったことが、大人になったときにあまり役立っているとは思えなかったのですが、それは間違っていました。私たち日本人は社会で生きていくうえで当たり前のモラルや知識はかなり学校で教えられていて、一方でこの国はそういった教育が十分ではないように思えました。たとえば心電図で患者の異常に気がついても、休憩時間だからという理由で患者を放置してしまう看護師がいる。書くことができないから、いろいろな申し込みができない。どうしたら避妊できるか知らない。灘さんも強く感じておられたようですが、医療の面の支援は必要なことですが、教育の面の支援もそれ以上に必要であることを強く感じました。



 英語はもちろんですが、やはり現地の人とは現地の言葉で話したいと思いました。通訳を介すと時間がかかり、なかなか話が進まなかったり、英語を話せない人とはほぼコミュニケーションがとれなかったり(カブレ郡?に行ったときに思ったのは、英語を話せない人こそ医療が必要な気がしました)、仲良くなるのに時間がかかってしまう(現地の言葉を話せるだけで、仲良くできてその人たちの状況がつかみやすい)と思いました。三回目なのに現地の言葉をほとんど覚えてない自分が情けなかったです。



 ネパールの医療をみていると、日本の医療は清潔すぎるのではと思うようになりました。たとえば、術衣は洗濯して再利用でしたし、病室やERはたくさんの人が来て砂や埃が目立ちました。確かに医療を行ううえで清潔にこしたことはありません(実際、モデル病院?では院内感染が多いそうです)が、医療以外の経済、環境などのことを考えれば、何でもディスポにしてしまうのは疑問です。日本の感覚で言えば不衛生と思われるところでも、この国では平気で医療を行っていて、特にお産についての現状を知ったときには人間本来の生命力を感じずにはいられませんでした。



 日本でも同様ですが、特にこの国では医師が患者さんを診るということは全ての社会的要素をみなければならないことを実感しました。たとえば、その病気は貧しいゆえの栄養失調なのか、その町の水が悪いからなのか、子供にも関わらず重労働しすぎているからなのか。この国ではいくつもの問題が根深く、複雑に絡み合っているため、医療の面からだけでなく様々な方面から同時に働きかけることが必要だと思いました。その問題の中で実感したのは優秀な人材が不足していることです。出稼ぎのため今は仕方ないことかもしれませんが、国外への人材流失は大きな問題で、近い将来にこれを解決しないことには、どれだけ外国人が頑張ったところでこの国はほとんど進歩しないでしょう。協力隊の方がどれだけ優秀なネパール人スタッフを育てたところで、そのたびに彼らが海外にいってしまったら国内は何も変わることがないので、ほとんど意味がないと思います。また山間部では交通の便が悪く孤立しているので人材的にも物質的にも不足しているので問題はさらに深刻なものと推測できます。

 感想文にもかかわらずネパールの批判ばかりしてしまいましたが、もちろんこの国にはいいところもたくさんあって私は大好きです。
大好きだからこそ、辛く当たってしまうのだと理解してください。その証拠に私はすでに三回も行っていますし、また行くつもりです。

 最後にツアー参加者の方々にはいろいろお世話になり、北嶋さんにはいろいろ貴重な体験をさせていただきとても感謝しています。ありがとうございました。


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