絵本読み聞かせプロジェクト
いとうみわさん インタビュー
目次
●はじめに
●バーンロムサイとの出会い
●絵本読み聞かせプロジェクト始動!
●熱いパワーのみなもとと継続のちから
●今後の目標と展開
●おわりに
●いとうみわさんプロフィール
タイ北部チェンマイにある「バーンロムサイ」は、両親をエイズで亡くし、HIVに母子感染した孤児たちの生活施設だ。現在31名の子どもたちが元気に暮らしている。WHO(世界保健機構)の報告によるとタイでは多く見積もってHIV/エイズ感染者数・患者数累計は約80万人(:2008年調べ。日本は約1万人:2007年調べ)。特に北タイと呼ばれる北部地域はHIV/感染者数・患者数が多い地域だ。
いとうみわさんは、バーンロムサイで1年間ボランティアとして働き、昨年日本に帰国。現地での体験を元に、子どもたちに「絵本読み聞かせの時間」を届けるというプロジェクトを開始した。そして「タイ・チェンマイ 笑顔を届ける絵本読み聞かせの旅」が8月に出発する。
―バーンロムサイとの出会い
学生時代、卒業後と、仲間と一緒にカフェの経営をしていたのですが、そこですごく大事にしていたのが、「どうしたらお客さんにもっと居心地よく過ごしてもらえるか?」ということでした。そんな日々から、自分は「誰かに喜んでもらって、その人の笑顔が見るのが好きなんだ。」と感じていて、その想いは「子どもたちの笑顔のために働いていきたい」という想いに変わっていきました。
ちょうどそんな時に「RED RIBBON LIVE」
※1 を見に行って、そのパワーに共感し、HIVという繋がりでふとバーンロムサイのことを思い出したんです。バーンロムサイのことは以前代表の名取美和さんのインタビュー記事を読んで知っていたので、ライブの後、すぐにバーンロムサイのホームページを訪れました。そこでちょうど掲載されていた「ボランティアスタッフ募集」にピーンときて、迷わず応募して現地に向かうことになりました。今思うと、あの時の行動の早さやその後のスムーズな段取りは、もう行くことが決まっていたかのようでした。
※1 RED RIBBON LIVE ラジオDJ山本シュウさんを中心に、様々な著名人が各界から集結し、ライブとトークを通じてエイズの予防啓発を呼びかけるイベント。http://www.redribbonlive.jp/index.html
―「絵本読み聞かせプロジェクト」始動!
タイに行く前から友人と共同で絵本制作をしていて、私がタイに行ってちょうど半年くらい経った頃、日本でその絵本が出版されました。出来上がったものをチェンマイに送ってもらったのですが、タイ語にまだ自信がなかったので、子どもたちには「もうちょっとタイ語が上達したら読んであげよう・・・。」と思って、しばらく絵本は部屋に置いたままだったんです。
でもどうしても絵本に対する子どもたちの反応が見てみたくなって、ある日子どもたちのところに絵本を持っていくと「何それー、読んでみせてー!!」と(笑)。子どもたちはすっかり絵本に夢中になってしまったんですね。
その日以来、毎日子どもたちに呼び出されては、絵本を読む日々が始まりました。
絵本を楽しんでいる子どもたちを見ていると、膝にだっこしてもらったり、優しく語りかけてもらったり、体温を感じながら、自分だけに向き合ってくれている時間は子どもにとってすごく大事なんだなと肌で感じました。言葉はうまく通じなくても、描かれている絵や読み手のぬくもりを通じて、コミュニケーションができてしまう、絵本にはそんな魅力があると思いますね。
現地では保母さんたちもいるのですが、食事や身の回りのこと、育ち盛りの子どもたちをお世話することで手一杯で、私が日本に帰ってきたことで、子どもたちが絵本を読む時間があまりなくなってしまいました。そこで継続的に絵本や読み聞かせの楽しい時間を届けたりする活動ができないかと考え、このプロジェクトを始めました。
―読み聞かせの素材となる絵本は、自宅に眠っているものなどを有効利用させて頂いたり、廃校の図書だったり。
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―熱いパワーのみなもとと継続のちから
―たくさんの人がボランティアプログラムなどで現地に行きますが、日本の生活の中で、そのときに感じた熱い想いは、日常の忙しさの中で少しずつ薄れてしまいますよね。それでもご自身でも何度も現地入りされて、プロジェクトを展開させていくパワーの源ってなんですか?
やっぱり子どもたちの笑顔ですね。日本に帰ってから、絵本を一緒に読んだ楽しい時間というのが蘇ってきて、またあの笑顔が見たいなぁと思うんです。実は絵本の時間を一番楽しんでいたのは自分のほうだったんじゃないかと思います。それから、東京で生活をしていると、ふと、タイの自然あふれる風景が蘇ってきて、またそこに戻りたいなぁと思うんです。
パワーが切れそうだな、というときには、時々国際電話をかけて、子どもたちやタイ人の友達と話をしたり、手紙をやりとりしています。あとはタイ料理をちょくちょく食べたり(笑) それからバーンロムサイは定期的に日本で展示会などもしているので、そのお手伝いをしたり、現地を知っている人と話をすることで、またいい刺激をもらっているなと思いますね。色々な体験をして、動いてみることが自分自身の財産にもなっていくのではないかと思って活動しています。
―今後の目標と展開
目下の目標は、この8月、9月のツアーをしっかりと成功させて、それを継続していきたいです。そして「絵本を届ける」という活動も展開していきたいです。
タイでは、絵本1冊300バーツ(約1,000円)位と、日本と変わらないくらいで、タイの物価にしたらまだまだとても高価なものです。だから貧しい家庭には絵本がないというのもあたりまえだし、読み聞かせも定着しようがない。日本人が現地に行って本の読み聞かせを行うことは、子どもたちに愛情を注ぐという意味でとても大切なことですが、きちんとしたタイ語で読み聞かせてくれる大人がいればいいなということで、現地の保母さんに週に1回、2回でもそういう機会を作ってもらえるよう、このプロジェクトを通じて賃金のサポートなどを行えるように少しずつ状況を整えていきたいです。

―7月19日にJICA地球広場カフェフロンティアで行われたトークカフェには、12名の参加者が集まり、みわさんのお話しに耳を傾けた。凛とした中にも、和やかな人を惹きつける魅力にあふれる言葉を紡ぎ出すみわさん。みわさんがコーディネート、同行するツアーは、8月20日発と9月3日発の2回。子どもたちに絵本を読み聞かせる旅に出ませんか。

いとうさんのブログ 著 書:ちんとすあまのふしぎなくり 作 ヨシナガ/いとうみわ 絵 ヨシナガ 関連ホームページ 【バーンロムサイ】 【バーンロムサイゲストハウス】 運営費を寄付だけに頼らず自分たちでも生み出して いきたいという想いと、将来子どもたちが自分たちで 運営していかれたらという願いを込めて建てられました。 この売り上げの一部は、バーンロムサイの運営費として使われます。 【レストラン サイトーン】 HIV感染孤児のために、料理やサービス業に興味のある 子どもたちの職業訓練の場、仕事の場となるように作られた 株式会社サイトーンが運営するレストラン。 売り上げの一部は、バーンロムサイに寄付されます。 |
文責:新垣
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